
SharePointの容量はどう決まるか──上限の計算と確認方法
「SharePointの容量が足りません」という通知が届いたとき、最初に行われがちなのは、ごみ箱を空にすることです。しかし、その操作で何が失われるのかを把握している管理者は、多くありません。
本稿では、SharePoint Onlineの容量の計算式と確認方法、容量を使っているもの、容量を空ける方法を整理します。あわせて、容量を空ける操作が「復元できる範囲」をどう狭めるのかを、方法ごとに示します。記載は本稿執筆時点(2026年10月)の仕様にもとづきます。
1. SharePointの容量はどう決まるか
SharePoint Onlineの容量は、既定では、組織全体で1つの容量(中央のプール)を共有する仕組みです。SharePointサイトは、既定では、ユーザーごと、サイトごとの割り当てを受けず、組織のプールを共有します。
計算式:1 TB+対象ライセンス数×10 GB(一般法人向けの対象プラン)
組織の総容量は、1 TBに、購入した対象プランのライセンス1つにつき10 GBを加え、さらに購入したExtra File Storageアドオンの分を加えたものです。「1人あたり10 GB」ではなく、主語は「組織」です。この式は、Microsoft 365 Business、EnterpriseなどのOfficeスイート系の主なプラン向けです。Frontline(F1・F3)やEducationの組織などは、条件が異なります。ご契約のプランは、Microsoftの「SharePoint limits」の表で確認してください。表1に、対象ライセンス数ごとの計算例を示します。
| 対象ライセンス数 | 計算式 | 総容量 |
|---|---|---|
| 50 | 1,024 GB+10 GB×50 | 1,524 GB(約1.5 TB) |
| 100 | 1,024 GB+10 GB×100 | 2,024 GB(約2.0 TB) |
| 300 | 1,024 GB+10 GB×300 | 4,024 GB(約3.9 TB) |
出典:Microsoft「SharePoint Online is out of storage space」をもとに試算。Extra File Storageアドオンを追加購入した場合は、その分が加算されます。
なお、SharePointの容量は2の30乗バイトを1 GBとするバイナリのGBで計算されます。OS上の表示と、わずかに異なることがあります。
どのライセンスが容量に加算されるか
加算量はライセンスの種類によって異なります。たとえば、OneDriveのスタンドアロンプランは、ライセンスあたり0.5 GBがテナントの上限に加算されます。ご自身のライセンスの加算量は、Microsoftの「SharePoint limits」で確認してください。
組織全体の上限と、サイトごとの上限
サイトの容量の管理方法には、自動(プール型)と手動があります。手動で個別に上限を設定していない限り、各サイトは組織の容量を共有して使います。手動で設定していたサイトの上限は、プール型に切り替えるとすべて25 TB(25,600 GB)にリセットされます。ただし、組織全体の容量が25 TBより小さい場合があります。実際の上限は、組織全体の容量です。組織全体の容量は無制限ではありません。
OneDriveには、個人ごとの上限と、組織全体のプールがある
OneDriveには、ライセンスごとに決まる、ユーザー個人の上限があります。MicrosoftのFAQは、個人ごとのOneDriveの上限と、組織全体のSharePointの共有プールは別の「アカウント」としながら、ユーザーのOneDrive内のすべてのデータは、組織全体のプールにも算入されると説明しています。つまり、OneDriveは、個人の上限と組織全体のプールの、2つの制約を受けます。古い資料や第三者の記事には、OneDriveはSharePointの容量とは別枠と書かれたものもありますが、本稿は、Microsoftの最新のFAQに合わせています。
2. SharePointの容量を確認する方法
組織全体の使用量はSharePoint管理センターで、サイトごとの使用量はサイトの設定で確認します。管理者向けとサイト所有者向けに分けて説明します。
組織全体の使用量:SharePoint管理センター
SharePoint管理センターの「アクティブなサイト」ページの右上に、全サイトで使われている容量と、サブスクリプションの合計容量が表示されます。アーカイブされたサイトや削除されたサイトの使用量も、同じ管理センターで確認できます。ただし、削除済みサイト(ごみ箱内)は、組織の合計使用量には算入されません。確認できることと、合計に数えられることは、別です。
サイトごとの使用量
サイトの設定の[サイトコレクションの管理]にある[記憶域メトリックス](Storage Metrics)のページを開くと、サイト内のどこが容量を使っているかを確認できます。
表示が反映されるまでに24〜48時間かかる
容量の使用量には、直近24〜48時間以内の変更が含まれません。ごみ箱を空にした直後に数値が変わらないのは、このためです。
3. 何が容量を使っているのか
容量を使っているのは、ファイル本体だけではありません。ごみ箱やバージョン履歴も容量に含まれます。表2で整理します。
| 項目 | 容量に含まれるか | 補足 |
|---|---|---|
| ファイル本体 | 含まれる | サイトに保存されたファイル。 |
| サイトのごみ箱 | 含まれる | ごみ箱が使う容量は、組織の総容量の一部。定期的に空にすることがMicrosoftから推奨されている。 |
| バージョン履歴 | 含まれる | 古いバージョンを減らすと、容量を減らせる。ただし、戻せる範囲も狭まる(5章)。 |
| 保持ホールドライブラリ | 容量に影響する場合がある | 保持ポリシーの対象コンテンツのコピーが保存される。保持設定によって、必要な容量が増えることがある。 |
| ユーザーのOneDrive | 含まれる | 個人の上限とは別に、組織全体のプールにも算入される(Microsoftの2026年のFAQ)。 |
| 削除済みのサイト(ごみ箱内) | 含まれない | 削除から93日間は復元できる。組織の合計使用量には算入されない。反映には、最大48時間かかる。 |
| Microsoft 365のアーカイブのデータ | アクティブな容量には含まれない | 組織のアクティブな容量の枠には数えられない。 |
出典:Microsoft「SharePoint limits」「SharePoint storage planning」「SharePoint Online is out of storage space」「Manage site storage limits」「OneDrive for Business storage quota enforcement FAQ」。
保持ポリシーは容量に影響する場合がある
データを守るために設定した保持ポリシーは、変更・削除されたコンテンツのコピーを残すために、サイトに保持ホールドライブラリを作成します。このコピーが容量に影響する場合がある点は、見落とされやすい項目です。
また、保持期間を短くして容量を空ける操作は、保持ロックを使っていない場合にのみ可能です。保持ロックを適用したポリシーは、グローバル管理者でも無効化、削除、制限の緩和ができません。
4. 容量が上限に達するとどうなるか
組織全体の使用量が総容量を超えると、管理者にメールで通知され、容量を増やすか、空ける対応が必要になります。
Microsoftは、総使用量が割り当てられた容量を超えた場合に、組織が容量不足の状態になると説明しています。そのときの対処として、Microsoftは、アドオンストレージまたはライセンスの追加購入、保持が必要な非アクティブなコンテンツのアーカイブ、不要なコンテンツの削除を挙げています。Microsoftは、組織全体の容量を超えると、サイトは読み取り専用になり、変更を保存できないと説明しています。また、ユーザー個人のOneDriveは、個人の上限を超えると、読み取り専用になります。
5. 容量を空ける方法と、それぞれで失うもの
容量を空ける操作の多くは、そのまま「復元できる範囲」を削る操作でもあります。表3に、方法ごとに空く容量と、失うものを示します。
| 方法 | 空く容量 | 失うもの | 費用 |
|---|---|---|---|
| ごみ箱を空にする | 削除済みのファイル | 削除から93日以内なら戻せたファイル。第2段階のごみ箱から削除したものは、直ちに消去され、利用者自身では復元できない | 追加費用なし |
| バージョン履歴を減らす(自動設定、上限の引き下げ、トリミング) | 過去のバージョン | トリミングされたバージョンは、ごみ箱を経ずに完全削除され、復元できない。「ライブラリの復元」で巻き戻せる範囲も狭まる | 追加費用なし |
| 保持設定で、期限後に自動削除する(削除ルール) | 期限を過ぎたファイル。ただし、保持ポリシーの対象は、期限の到来だけでは空かないことがある | 期限後の復元手段。保持期間の短縮は、保持ロックを使っていない場合にのみ可能 | 契約中のプランによる(保持ポリシーは、適切なライセンスが必要) |
| 使っていないサイトを削除する | サイト全体(削除済みサイトは合計に算入されない) | 削除から93日で完全に削除される。グループに属するサイトでは、サイト以外のグループのリソースは30日 | 追加費用なし |
| Microsoft 365のアーカイブ(サイト単位) | アクティブな容量 | データは失わない。閲覧には再アクティブ化が必要。アーカイブ分の課金は、アクティブとアーカイブの合計が組織の容量を超えた分に限る | 有償(容量を超えた分) |
| 容量を追加購入する | ―(上限が増える) | データは失わない。費用が継続的にかかる | 有償(Extra File Storageアドオンなど) |
出典:Microsoft「SharePoint data deletion in Microsoft 365」「FAQs for versions」「Trim existing versions」「Use Preservation Lock」「Restore deleted sites」「Pricing model for Microsoft 365 Archive」「SharePoint Online is out of storage space」。費用の具体額は、変更が頻繁なため記載していません。
なお、第2段階のごみ箱から削除したものは、利用者自身では復元できませんが、Microsoftは、完全削除から、さらに14日間、バックアップを保持しています(復元は、管理者がMicrosoftサポートに依頼します)。
ファイル単位のアーカイブは、サイトの容量を減らす目的には使えません。Microsoftは、ファイルをアーカイブしても、報告される使用量や、容量の計算、クォータの適用は変わらないと説明しています。再アクティブ化したファイルは、120日間、再アーカイブできません。表3は、サイト単位のアーカイブを示しています。
「空ける」と「増やす」は違う
データを削除せずに余裕を作る代表的な方法は、アーカイブと容量の追加です。アーカイブは、アクティブな容量を空ける操作で、容量の追加は、上限を増やす操作です。Microsoftも、容量の追加購入か、データを削除せずに容量を空けられるMicrosoft 365のアーカイブの利用を案内しています。ごみ箱を空にする、バージョンを減らす、期限後に自動削除する、といった方法は、容量と引き換えに、戻せる範囲を失います。外部のストレージへ移す方法もありますが、本稿では扱いません。
6. 容量対策の前に確認しておくこと
容量を削る前に、法定の保存期間、利用状況、戻す手段の3点を確認してください。
削除する前に確認する3つのこと
①法定の保存期間があるデータか。SharePointを電子取引データの保存先にしている企業では、国税庁の電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】が参考になります。電子取引データは、それぞれの法律で定められた期間、保存する必要があります。法人の場合、帳簿と書類は7年です。ただし、欠損金額が生じた事業年度などでは10年となる場合があります。詳しくは同一問一答の問17をご確認ください。
②誰が、いつ使うデータか。最終更新日だけでなく、年次や決算期に使うデータが含まれていないかを確認します。
③削ったあとに、戻す手段が残るか。表3の「失うもの」を確認し、削る前に別の手段で戻せる状態にしておきます。
戻す手段を「容量の外」に置く
Microsoftとは独立したデータセンターに保存されるバックアップは、SharePointの容量とは別の場所にあります。容量を削る前に、容量の外にバックアップを確保しておけば、削除後に必要になった場合でも対応できます。
ただし、バックアップは、閲覧用のアーカイブではありません。元のデータを削除しない限り、バックアップを取っても容量は空きません。国税庁も、バックアップの保存は法令上の要件ではないが、保存期間を通じて適切に保存するために望ましいとしています。
7. よくある質問
SharePointの容量は1人あたり10 GBですか?
いいえ。一般的な法人向けプランでは、組織全体で、1 TBに、購入した対象プランのライセンス1つにつき10 GBを加えた容量を共有します。主語は「組織」で、ユーザー単位ではありません。Frontline(F1・F3)やEducationなどは、条件が異なります。
SharePointの容量はどこで確認できますか?
管理者は、SharePoint管理センターの「アクティブなサイト」ページの右上で、全サイトの使用量と合計容量を確認できます。サイトごとの使用量は、サイトの設定から確認します。表示には、直近24〜48時間の変更が含まれません。
ごみ箱のファイルは容量に含まれますか?
含まれます。サイトのごみ箱が使う容量は、組織の総容量の一部です。Microsoftは、ごみ箱を定期的に空にすることを推奨しています。ただし、空にすると、削除から93日以内なら戻せたファイルも戻せなくなります。
SharePointの容量が上限に達するとどうなりますか?
総使用量が割り当てられた容量を超えると、管理者にメールで通知され、サイトは読み取り専用になって変更を保存できなくなります。対処は、容量の追加購入、非アクティブなコンテンツのアーカイブ、不要なコンテンツの削除です。
ごみ箱を空にしても問題ありませんか?
容量は空きますが、戻せる範囲も失います。第2段階のごみ箱から削除したものは、直ちに削除され、利用者自身では復元できません。空にする前に、必要なデータが含まれていないか、法定の保存期間がないかを確認してください。
8. まとめ
SharePointの容量は、一般的な法人向けプランでは、組織全体で「1 TB+対象ライセンスごとに10 GB」を共有する仕組みです。ごみ箱やバージョン履歴も容量を使い、それらを削る操作は、同時に復元できる範囲を狭めます。
データを削除せずに余裕を作る代表的な方法は、アーカイブと容量の追加です。それ以外の方法で空ける場合は、削る前に、容量の外にバックアップを確保してください。
削る前に、戻す手段を容量の外に持つ

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