Chat with us, powered by LiveChat
Microsoft 365 Header

Teamsのデータはどこに保存されるか──バックアップと復元の方法を解説

執筆者 Hornetsecurity / 26.08.2026 / ,

Microsoft Teamsは、いまや多くの企業にとって業務の中心となる基盤です。日々のやり取りはチャットで交わされ、資料はチャネルで共有され、会議の記録も蓄積されます。しかし、そのデータがどこに保存され、誰の責任で守られているのかを正確に説明できる担当者は多くありません。

その背景にあるのが、Teamsは独立したデータの保管場所を持っていない、という構造上の特徴です。チャット、ファイル、会議の記録はそれぞれ異なるサービスに保存されており、この構造を把握しないまま対策を検討しても、守れている範囲を正しく線引きすることはできません。

本記事では、Teamsのデータがどこに保存されているのかを整理したうえで、標準機能で復元できる範囲、それだけでは対応できないケース、そして具体的なバックアップと復元の方法を解説します。

1. Teamsのデータはどこに保存されているか

Teamsは利用者から見れば一つのアプリケーションですが、内部では複数のMicrosoft 365サービスが連携しており、データは種類ごとに異なる保存先へ振り分けられています。

チャットとチャネルの投稿

個人間のチャットは、会話に参加している各ユーザーのExchange Onlineメールボックス内の非表示フォルダーに保存されます。一方、チャネルへの投稿は、チームに紐づくMicrosoft 365グループのメールボックスに保存されます。いずれも通常のメール操作からは見えないため、存在自体が意識されにくい領域です。

共有ファイルと会議の記録

チャネルで共有されたファイルは、チーム作成時に自動生成されるSharePoint Onlineのサイトに保存されます。個人間のチャットで送受信したファイルは、送信者のOneDrive for Business内に格納されます。

会議の録画と文字起こしは、会議の種類によって保存先が変わります。通常の会議では、録画を開始した人が誰であっても開催者のOneDriveに保存されます。一方チャネル会議では、そのチームに紐づくSharePointサイトに保存されます。

チームの構成情報とメンバー情報

チーム名、チャネルの構成、メンバーの一覧といった情報は、Microsoft 365グループとしてMicrosoft Entra ID上で管理されています。チャット本文やファイルの実体とは別の場所です。

つまり「Teamsをバックアップする」とは、実際にはExchange Online、SharePoint Online、OneDrive for Business、そしてEntra IDにまたがる複数のデータを、まとめて保護することを意味します。単一のサービスを対象にすれば済む作業ではない、という点が出発点になります。

データの種類保存先
個人間のチャット各ユーザーのExchange Onlineメールボックスの非表示フォルダー
チャネルへの投稿チームに紐づくMicrosoft 365グループのメールボックス
チャネルで共有したファイルSharePoint Online(チーム作成時に自動生成されるサイト)
チャットで送受信したファイル送信者のOneDrive for Business
会議の録画・文字起こし通常の会議は開催者のOneDrive、チャネル会議はSharePoint
チーム構成・メンバー情報Microsoft 365グループ(Microsoft Entra ID)
Teamsのデータは複数のサービスに分散して保存される(出典:Microsoft Learn

2. 標準機能でどこまで復元できるか

Microsoft 365には、データを一定期間保持し復元するための機能が標準で備わっています。追加の対策を検討する前に、まずこの範囲を正確に把握しておく必要があります。

削除したチームやチャネルの扱い

削除されたチームは、その実体であるMicrosoft 365グループが30日間「論理的な削除(ソフト削除)」の状態で保持されます。この期間内であれば、Microsoft 365管理センターやMicrosoft Entra管理センターからグループとその内容を復元できます。30日を過ぎると、グループと関連するコンテンツは完全に削除され、復元する手段はなくなります。

なお、この30日という期間は変更できません。運用ルールでこれより長い保持を求める場合、標準機能の設定変更では対応できません。

ファイルの復元

SharePointやOneDriveに保存されたファイルは、ごみ箱とバージョン履歴から復元できます。ごみ箱は2段階の構造になっており、利用者が自分で操作できる第1段階のごみ箱から削除されたアイテムは、サイトコレクション管理者が操作する第2段階のごみ箱へ移動します。誤って上書きしてしまった場合には、バージョン履歴から以前の版に戻すことも可能です。

注意が必要なのは保持期間の数え方です。ごみ箱の保持期間は第1段階・第2段階のどちらも93日で、起算日は元の場所から削除した時点です。第2段階へ移動した時点でリセットされるわけではなく、93日目にはどちらの段階にあっても完全に削除されます。

保持ポリシーとバックアップの違い

Microsoft Purviewの保持ポリシーを利用すれば、チャットやチャネルの投稿を指定した期間にわたって保持できます。ただし、保持(リテンション)とバックアップは目的が異なります。保持はコンプライアンス上の要請からデータを消させないための仕組みであり、大規模な復元や、ある時点の状態にまとめて戻すポイントインタイム復元を前提に設計されたものではありません。データを保持していることは、必要なときに復元できることと同義ではないという点は押さえておく必要があります。

データの種類保存先標準機能での復元手段保持期間
チーム・チャネル構成Microsoft 365グループ(Entra ID)管理センターから復元30日(変更不可)
チャネルのファイルSharePoint Onlineごみ箱・バージョン履歴93日(元の場所からの削除時点から起算)
チャットのファイルOneDrive for Businessごみ箱・バージョン履歴93日
会議の録画・文字起こし通常の会議は開催者のOneDrive、チャネル会議はSharePointごみ箱・バージョン履歴93日
チャット本文・チャネル投稿Exchange Onlineの非表示フォルダーごみ箱に相当する仕組みなし。削除後はSubstrateHoldsフォルダーへ移動し、通常1〜7日で完全に削除保持ポリシーの設定による
データの種類ごとに保存先と復元手段は異なる(出典:Microsoft Learn

3. 標準機能では守れないケース

標準機能には、対応できる範囲とそうでない範囲があります。とくに注意が必要なのが、Microsoftが提供する標準のバックアップ製品の保護対象です。

Microsoftは「Microsoft 365 Backup」を提供していますが、本稿執筆時点で保護の対象となっているのは、Exchange Online、SharePoint Online、OneDrive for Businessの3つです。Teamsのチャネルで共有されたファイルはSharePoint Onlineに保存されるため対象に含まれますが、グループチャットや個別チャット、会議のメモといったTeams固有のデータは、この対象に含まれていません。Microsoft 365全体の責任分担と標準機能の対象範囲については、Microsoft 365のバックアップとは──標準機能と責任共有モデルの基礎で解説しています。

そのうえで、実務上とくに問題となりやすいケースを3つ挙げます。

①保持期間を過ぎた削除データ

前章のとおり、標準機能による保持には期限があります。しかも、その仕組みはデータの種類によって大きく異なります。

ファイルであれば、ごみ箱から93日以内に自分で復元できます。しかしチャットには、ごみ箱に相当する仕組みがありません。ユーザーがTeams上でメッセージを削除すると、そのメッセージはTeamsアプリから見えなくなり、元のチャット画面に戻すことはできません。

削除されたメッセージはメールボックス内のSubstrateHoldsという非表示フォルダーへ移動し、少なくとも1日は保持されますが、その後(通常1〜7日)完全に削除されます。この間に内容を確認できるのは、電子情報開示(eDiscovery)ツールを扱える管理者に限られます。

つまり同じTeams上のやり取りでも、ファイルとチャット本文では復元の可否そのものが異なります。削除に気づくのが数日後でも、チャット本文は手遅れになっている可能性があります。

②退職者アカウントの削除に伴うデータ消失

従業員が退職しアカウントを削除した場合の扱いは、保持ポリシーの有無によって変わります。

Teamsメッセージを保持するアイテム保持ポリシーが適用されていれば、アカウントを削除してもメールボックスは非アクティブなメールボックスに変換され、チャットメッセージは保持されます。電子情報開示による検索も引き続き可能です。

一方、保持ポリシーが適用されていない場合、アカウントの削除とともに、そのユーザーのチャット履歴を確認する手段は失われます。日本企業では年度末に人事異動と退職が集中するため、保持ポリシーの適用範囲とアカウント整理の運用ルールは、あわせて確認しておく必要があります。

③ランサムウェアによる暗号化

ランサムウェアによってファイルが暗号化された場合、その変更はシステム上、正規の更新操作として記録されます。バージョン履歴をさかのぼれば復元できる場合もありますが、暗号化された版が履歴を埋め尽くせばその手段も機能しません。攻撃の検知が遅れるほど、標準機能だけで復元できる可能性は下がります。

4. Teamsをバックアップする方法

Teamsのデータを保護する方法は次の通り大きく3つに分けられます。対象範囲と運用負荷が異なるため、自社の要件に照らして選ぶことになります。

①標準機能と保持ポリシーで運用する

追加費用をかけずに始められる方法です。ごみ箱、バージョン履歴、Purviewの保持ポリシーを組み合わせて運用します。ただし前章のとおり復元できる範囲には限りがあります。短期間の誤削除への対応が主目的であれば、この範囲でも一定の効果は得られます。

②エクスポート機能などを組み合わせて自前で運用する

MicrosoftはTeams Export APIを提供しており、1対1のチャット、グループチャット、会議チャット、チャネルメッセージをエクスポートできます。これを利用して独自の運用を構築することも可能です。

ただしこのAPIはバックアップ製品として提供されているものではなく、バックアップとして使うには、取得したデータの保管、世代管理、復元の仕組みをすべて自社で実装する必要があります。設計・実装・動作確認の負荷は小さくなく、担当者の交代で形骸化するリスクも考慮が必要です。

③サードパーティ製バックアップを導入する

バックアップ専用の製品を導入する方法です。Teamsのチャットを含む幅広いデータを対象にでき、Microsoftのクラウドの外側にコピーを保持できる点が特徴です。3-2-1バックアップルール(コピーを3つ以上、2種類以上のメディアに保存し、少なくとも1つはオフサイトに置く)のような考え方に沿った運用も可能です。

方法対象範囲復元の単位運用負荷費用
①標準機能と保持ポリシーSharePoint・OneDrive上のファイル、および保持ポリシーを適用したチャット。チャット本文をチャット画面へ戻す手段はないファイル単位・バージョン単位。チームは削除から30日以内であればグループ単位低(追加の実装は不要。ポリシーの設計と定期確認のみ)追加費用なし(Microsoft 365のライセンス内)
②Teams Export APIで自前運用1対1のチャット、グループチャット、会議チャット、チャネルメッセージ取得したデータの持ち方に依存。復元の仕組みは自社で実装する必要がある高(設計・実装・動作確認・保守をすべて自社で担う)自社の開発・運用コスト
③サードパーティ製バックアップTeamsのチャットを含む幅広いデータ。Microsoftのクラウド外にもコピーを保持できる製品によって異なる(アイテム単位・チーム単位の復元に対応するものが多い)低〜中(管理コンソールでの設定と定期確認)製品のライセンス費用
対象範囲と運用負荷を踏まえて選択する

5. データを復元する手順

実際に復元する際の基本的な流れを整理します。

削除したチームやチャネルを戻す

削除されたチームは、Microsoft 365管理センターの左メニューから「チームとグループ」→「削除済みのグループ」と進み、対象のグループを選んで復元します。復元すると、チームに紐づくSharePointサイトやメールボックスもあわせて戻ります。ただし、これは30日の保持期間内に限られます。

ファイルを復元する

削除されたファイルは、まずSharePointまたはOneDriveのごみ箱を確認します。第1段階に見当たらない場合は、管理者が第2段階のごみ箱を確認します。内容が意図せず変更されている場合は、バージョン履歴から以前の版を選んで復元します。

復元できなかった場合に確認すること

いずれの方法でも復元できない場合、保持期間の超過、対象ユーザーのアカウント削除、標準機能の保護対象外のデータであった、のいずれかに該当している可能性があります。とくにチャット本文については、そもそもごみ箱に相当する復元手段がなく、Microsoftが提供する標準のバックアップの対象外でもあります。復元できなかった理由を切り分けておくことは、今後の対策範囲を決めるうえでも有用です。

6. 自社に必要なバックアップを判断する5つの質問

どこまでの対策が必要かは企業によって異なります。次の5点を整理すると、自社の要件を具体化しやすくなります。

  • 過去どの時点のデータまで復元できる必要があるか
  • チャットの本文とファイルのどちらを優先して守るか
  • Teams以外(SharePoint、OneDrive、Exchange Online)も対象に含めるか
  • 監査やコンプライアンス上、保存が義務づけられているデータはあるか
  • バックアップの設定と定期的な確認を担当できる人員がいるか

たとえば個人情報保護法の安全管理措置や電子帳簿保存法の保存要件に関わるデータが含まれる場合、標準機能の保持期間だけでは要件を満たせないことがあります。稟議に必要な判断材料として、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。

7. よくある質問

TeamsのデータはMicrosoftがバックアップしてくれますか

いいえ。Microsoftはサービスを利用可能な状態に保つ責任を負いますが、その中に保存されたデータを保護する責任は利用者側にあります。これは責任共有モデル(Shared Responsibility Model)と呼ばれる考え方で、Microsoftのサービス規約にもコンテンツを定期的にバックアップすることを推奨する旨が記載されています。

削除したチームは復元できますか

削除から30日以内であれば復元できます。削除されたチームは、その実体であるMicrosoft 365グループが30日間論理的な削除の状態で保持され、その間はMicrosoft 365管理センターから復元が可能です。30日を過ぎると完全に削除され、復元はできません。この期間はカスタマイズできません。

削除したチャットメッセージは復元できますか

Teamsアプリ上に戻すことはできません。削除されたメッセージはSubstrateHoldsという非表示フォルダーへ移動し、少なくとも1日は保持されますが、その後(通常1〜7日)完全に削除されます。この間に内容を確認できるのは電子情報開示ツールを扱える管理者に限られ、元のチャット画面へ復元する機能は提供されていません。

Teamsのチャット履歴はどこに保存されていますか

個人間のチャットは各ユーザーのExchange Onlineメールボックス内の非表示フォルダーに、チャネルへの投稿はチームに紐づくMicrosoft 365グループのメールボックスに保存されています。Teams自体が独立した保管場所を持っているわけではありません。

保持ポリシーを設定すればバックアップは不要ですか

保持とバックアップは目的が異なります。保持ポリシーはデータを一定期間消させないための仕組みであり、大規模な復元やポイントインタイム復元を前提に設計されたものではありません。データを保持していることと、必要なときに迅速に復元できることは、同じではありません。

まとめ

Teamsのデータは、チャット、ファイル、会議の記録がそれぞれ別のサービスに保存されています。この構造を理解しないまま対策を検討しても、守れている範囲を正しく把握することはできません。

標準機能でも一定期間内の復元は可能ですが、その範囲はデータの種類によって大きく異なります。ファイルは93日以内であればごみ箱から戻せる一方、チャット本文にはごみ箱に相当する仕組みがなく、削除されたメッセージを元の画面に戻すことはできません。Microsoftが提供する標準のバックアップもTeamsのチャット本文を対象としておらず、退職者のアカウント削除やランサムウェアなど、標準機能だけでは対応が難しい場面も存在します。

自社に必要な保護の範囲を見極めたうえで、標準機能で足りるのか、追加の対策が必要なのかを判断することが重要です。

365 Total Backup icon

Hornetsecurity(ホーネットセキュリティ)の365 Total Backupを利用すれば、M365のすべてのメールボックス、Teamsチャット、Plannerのプラン、OneNoteのノートブック、そしてOneDriveおよびSharePointに保存されたファイルを、オンラインコンソールを通じてバックアップ・復元できます。バックアップは1日に複数回自動的に取得され、M365バックアップ用のストレージ容量は無制限です。

バックアップは、最後の砦
前段の防御は十分ですか?

ランサムウェア攻撃でデータを損失した企業は、2024年には3社に1社近くに。戻せる備えと、戻さずに済む備え。この二つを組み合わせることが、いま求められる対策です。

本資料では、フィッシングやパッチ未適用などランサムウェアの主な攻撃経路を整理し、メールの防御・なりすまし対策・アクセス権管理・セキュリティ教育・データ保護という5つの層で「点ではなく面で守る」多層的なセキュリティ対策を解説します。