

ドメインのなりすましを防止し、ブランドを保護するDMARC
サイバー攻撃はますます頻発しています
毎月のように大規模な攻撃がニュースを騒がせ、日々、検知されないまま多くの攻撃が行われています。特に懸念されるのはメールの配信率です:最大16%のマーケティングメールが届かず、スパム扱いされることで、ブランドへの信頼が損なわれるリスクがかつてないほど高まっています。特に、メールプロバイダーが顧客のサイバーセキュリティ対策を強化している現在、この状況はさらに深刻化しています。
この数値は、このまま何もしないと今後数年間でさらに悪化すると予想されています。そのため、DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance)を活用してこの潜在的な危機に対処する重要性を認識、理解することが不可欠です。DMARCは、メールが本来の受信者の受信箱に届くことを保証するだけでなく、フィッシングや詐欺といった攻撃からブランドを保護する役割も果たすソリューションです。DMARCポリシーは、SPF(Sender Policy Framework)とDKIM(DomainKeys Identified Mail)の検証結果を評価し、予め設定、定義されたアクションを実行します。DMARCやSPF、DKIMは以下のように連携して機能します:
- SPFチェック –メッセージが承認された IP アドレスまたはメールサーバーから送信されたことを確認します。
- DKIMチェック – 公開鍵暗号を用いてメールの整合性を検証し、内容が改ざんされていないことを確認します。
DMARCはこれらの結果を評価し、必要なアクションを決定します。取られるアクションは以下の3つです:
- None(何もしない) – メールを配信する(ただし、レポートは生成)
- Quarantine(隔離) – スパムとしてマークし、隔離する
- Reject(拒否) – 配信を拒否する
ドメインのなりすまし攻撃のリスク
ドメインのなりすまし攻撃は、サイバー犯罪者が貴社のドメインを装ったメールを送りつけ、甚大な被害を引き起こす可能性があります。
これは一見正当なドメイン(貴社のドメイン)から、マルウェアをダウンロードさせるといった、顧客やパートナーへの攻撃につながる可能性があります。攻撃者がこれを成功させてしまった場合、貴社の評判は大きく損なわれ、顧客からの信頼を失いかねません。しかし、DMARCを活用すれば、メールの真正性を検証するという重要な機能をDMARCが担うため、リスクは大幅に軽減されます。
DMARCは、メッセージが受信者によって処理される方法に関するより多くの可視性と制御を、送信者に提供します。またDMARCによって、送信されたメッセージの配信状況や認証状態に関するフィードバックやレポートを受け取ることが可能になります。
一方受信者は、DMARC認証に失敗したメッセージをフィルタリングまたはフラグ付けすることで、ユーザーが詐欺や有害なメールにさらされるリスクを軽減できます。また、DMARC認証を通過したメッセージを信頼でき、遅延や変更することなく受信者に配信するのを支援します。
DMARC導入における課題
DMARCを導入する際には、効果的なメール認証を実現するために必要な複雑なプロトコルの展開と維持に制限事項と機能的な課題が存在します。
SPFとDKIMレコードを誤って設定してしまうと、メール認証の失敗を頻繁に引き起こし、根本原因を特定するのが困難になります。さらに、メールプロバイダーは高度化するサイバー攻撃に対抗するため、フィルターを日々強化しています。これは本来ユーザーに有益な措置ですが、結果として正当なメールがスパム判定されてしまうリスクも高まります。DMARCレポートを分析し、問題を特定するツールがない場合は、DMARC認証に失敗したメールが配信されなかった理由を推測するしかありません。
これらの課題をDMARC Managerで解決する
DMARC Managerは、複雑な認証技術の集合体であるDMARCを、効率的で管理しやすいプロセスに変換することで、これらの課題を解決します。
DMARC ManagerによってDMARCに対応することで、正当なメールが受信者に意図通りに届く可能性を向上します。DMARCレポートの解析を通じて、不正なメールの使用など、具体的な問題点を明確に指摘し、企業がこれらを積極的に対応できるよう支援します。さらに、DMARC Managerはドメインの不正使用を検出・ブロックし、ブランドがなりすまし攻撃やフィッシングに無意識に利用されるリスクから保護します。
複数のドメインを管理する企業にとって、DMARC Managerはすべてのメールシステムにおいて一貫性とセキュリティを確保する中央集約型のプラットフォームを提供します。また、メッセージ識別用のブランド指標(BIMI)を通じてブランド保護を強化し、企業は受信者の受信箱にロゴを直接表示できるようになります。これにより、ブランド認知度と信頼性が向上するだけでなく、メールマーケティング活動における競争優位性を獲得し、メールキャンペーンの効果と到達率を向上させます。
DMARCは完璧なソリューションではありませんが、メールセキュリティには不可欠です。攻撃を受ける前に導入する方が、被害が発生してから導入するよりもはるかに効果的です。サイバー犯罪者は、企業や利用者がDMARCやDKIM、SPFといったメールセキュリティ対策を先んじて活用していないことを狙っています。だからこそ、常に一歩先を見据えて備えることが、ブランドと顧客を守る最善の防御策となります。

Andy Syrewicze
Hornetsecurity セキュリティエバンジェリスト
Andyは、M365、クラウド技術、セキュリティ、インフラストラクチャに特化した20年以上の経験を持つITプロフェッショナルです。日頃はHornetsecurityのセキュリティエバンジェリストとして、技術コンテンツのリーダーを務めています。夜は冷たいビールを片手に、オンライン上にIT知識を共有しています。彼はマイクロソフトのセキュリティ分野におけるMVP賞を受賞しています。
